東京藝術大学美術学部建築科の入学試験は、文章と図で示された立体を印象ではなく正確に捉え描画を行う[空間構成]と、与えられた素材から空間をドローイングや文章で表現する[総合表現]の2課題で構成されます。
以下に、令和5年度の美術学部建築科入学試験の参考作品とその評価基準を掲載します。令和4年度以前については本ページの下段のリンクから参照できます。
なお、試験問題については、こちらを参照してください。
令和4年度美術学部建築科入試問題用紙(PDF)
また、令和6年度入学試験に関する情報は、大学入試情報サイトに掲載される募集要項を参照してください。(11月頃掲載予定)
東京藝術大学入試情報サイト
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[空間構成] (1日目)
この試験は、与えられた文章と図が定義する立体を、条件に従って構成・表現する力を問うものです。本年度は、文章と図で示された立体を、スケッチや思考の中でどれだけ自在にイメージできるのかを問うため、草案用紙を切り抜くなど実体を伴った検討を敢えて行わないこととしました。
結果として[設問1]で、2つの立体が接する点を正確に捉えられない解答が目立ちました。[設問2]では立体に与える厚みが明らかに異なるものや、条件にある、球に触れる点に対する意図が不明瞭な構図の作品が多く見られたことは残念でした。
その一方で、立体のプロポーションを正確に捉えた描写が比較的多く見られました。また、与えられた立体そのものの構成力、描写力もさることながら、それらが存在していることで空間内に生まれる抜けや気積など、実体のない対象を意識的に描き出そうとする意図を感じた作品は積極的な評価の対象となりました。
以下、合格者の解答例です。
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[総合表現](2日目)
本年度の問題は、身近な対象を観察し、分析した上で言語化し、再構成し、図と言葉によって説明する、総合的な表現の能力を問うものでした。
心の中に像を浮かべてそのままアウトプットするような絵の描き方というよりは、一度心の中に浮かべた像を小さな画として紙の上にいくつか取り出し、それらを客観的に眺め、ひとつの大きな画として再構成したうえで改めてそれらの作業の趣旨や手順、発見したことを言葉で説明することを求めました。そのために段階的に課題文を提示し、かつ前半では60分という比較的短い時間で小さな画と言葉を並べ、後半で総合的な表現として大きな画と説明文を完成させるという、段階的な出題としました。
建築においては、設計者の当初の想像のままに設計が完結することはありません。多様な要素を都度拾い、あるいは与えられながら、設計過程のなかでひとつの画に統合する能力が求められます。そこでは、描画力、構成力のみならず思考力や分析力、そしてそれらを一つの画として統合する構想力が求められます。
「手から連想するかたち」では、出題意図に応えるバリエーション豊かな展開が見られました。また、それらを分析的、論理的に展開させて、独自の形態と空間を導き出すプロセスにも創造的な多様性が見られました。一方で、多くの提案が、配布されたケント紙から構想された造形に引きずられてしまった点、森や水面などの定型的な背景に頼った表現が多く見られたことは残念でした。
以下、合格者の解答例です。
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以上4点、解答例A
「曲率の揃った曲面」というモチーフを持ち、内観では複雑な3次曲面やそこにみられる陰影を的確に描いています。手のかたちをよく観察し、バリエーションのある10のパタンを抽出し、安定感と柔らかさというテーマを引き出しています。
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以上4点、解答例B
曲面を用いる人が多いなかで、平面の組み合わせで全体を構成し、独特の空間を描くことに成功しています。手のかたちを直線で図式に転換してアイデアを展開するなかで「手のひら」と「手の甲」の対比というモチーフを抽出しており、一貫した論理の積み上げが読み取れます。
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以上4点、解答例C
複雑な造形をイメージしながらスケールのある空間として描くことに成功しています。10の手のかたちを抽象的な立体モデルとして描き、「直接的な関わり」「間接的な関わり」というテーマを引き出しています。
以下に、令和5年度の美術学部建築科入学試験の参考作品とその評価基準を掲載します。令和4年度以前については本ページの下段のリンクから参照できます。
なお、試験問題については、こちらを参照してください。
令和4年度美術学部建築科入試問題用紙(PDF)
また、令和6年度入学試験に関する情報は、大学入試情報サイトに掲載される募集要項を参照してください。(11月頃掲載予定)
東京藝術大学入試情報サイト
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[空間構成] (1日目)
この試験は、与えられた文章と図が定義する立体を、条件に従って構成・表現する力を問うものです。本年度は、文章と図で示された立体を、スケッチや思考の中でどれだけ自在にイメージできるのかを問うため、草案用紙を切り抜くなど実体を伴った検討を敢えて行わないこととしました。
結果として[設問1]で、2つの立体が接する点を正確に捉えられない解答が目立ちました。[設問2]では立体に与える厚みが明らかに異なるものや、条件にある、球に触れる点に対する意図が不明瞭な構図の作品が多く見られたことは残念でした。
その一方で、立体のプロポーションを正確に捉えた描写が比較的多く見られました。また、与えられた立体そのものの構成力、描写力もさることながら、それらが存在していることで空間内に生まれる抜けや気積など、実体のない対象を意識的に描き出そうとする意図を感じた作品は積極的な評価の対象となりました。
以下、合格者の解答例です。
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[総合表現](2日目)
本年度の問題は、身近な対象を観察し、分析した上で言語化し、再構成し、図と言葉によって説明する、総合的な表現の能力を問うものでした。
心の中に像を浮かべてそのままアウトプットするような絵の描き方というよりは、一度心の中に浮かべた像を小さな画として紙の上にいくつか取り出し、それらを客観的に眺め、ひとつの大きな画として再構成したうえで改めてそれらの作業の趣旨や手順、発見したことを言葉で説明することを求めました。そのために段階的に課題文を提示し、かつ前半では60分という比較的短い時間で小さな画と言葉を並べ、後半で総合的な表現として大きな画と説明文を完成させるという、段階的な出題としました。
建築においては、設計者の当初の想像のままに設計が完結することはありません。多様な要素を都度拾い、あるいは与えられながら、設計過程のなかでひとつの画に統合する能力が求められます。そこでは、描画力、構成力のみならず思考力や分析力、そしてそれらを一つの画として統合する構想力が求められます。
「手から連想するかたち」では、出題意図に応えるバリエーション豊かな展開が見られました。また、それらを分析的、論理的に展開させて、独自の形態と空間を導き出すプロセスにも創造的な多様性が見られました。一方で、多くの提案が、配布されたケント紙から構想された造形に引きずられてしまった点、森や水面などの定型的な背景に頼った表現が多く見られたことは残念でした。
以下、合格者の解答例です。
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以上4点、解答例A
「曲率の揃った曲面」というモチーフを持ち、内観では複雑な3次曲面やそこにみられる陰影を的確に描いています。手のかたちをよく観察し、バリエーションのある10のパタンを抽出し、安定感と柔らかさというテーマを引き出しています。
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以上4点、解答例B
曲面を用いる人が多いなかで、平面の組み合わせで全体を構成し、独特の空間を描くことに成功しています。手のかたちを直線で図式に転換してアイデアを展開するなかで「手のひら」と「手の甲」の対比というモチーフを抽出しており、一貫した論理の積み上げが読み取れます。
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以上4点、解答例C
複雑な造形をイメージしながらスケールのある空間として描くことに成功しています。10の手のかたちを抽象的な立体モデルとして描き、「直接的な関わり」「間接的な関わり」というテーマを引き出しています。