全国の大学研究室から応募された修士設計・修士論文・研究室プロジェクト等を審査し、展示する「トウキョウ建築コレクション2016」が開催。修士設計部門で、石原愛美(ヘネガン研究室)の作品「空間文体練習」がグランプリを受賞しました。
展覧会と公開審査会(修士設計展)の詳細は以下のとおり。
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トウキョウ建築コレクション2016
会期:2016年3月1日(火)〜 6日(日) 10:00〜20:00
会場:代官山ヒルサイドテラス
(住所:東京都渋谷区猿楽町18-8)
詳細:http://www.2016.tkc.site/
トウキョウ建築コレクション2016公開審査会(修士設計展)
日時:2016年3月5日(土)10:30〜18:30
会場:ヒルサイドプラザ
審査員:青木淳 内藤廣 長谷川逸子 福島加津也 連勇太朗
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石原愛美「空間文体練習」(グランプリ受賞)
「空間文体練習」 石原愛美
「文体練習」とは、フランスの作家レーモン・クノーの著作です。これはひとつの短いストーリーが「練習」という名目により、異なる文体で読み換え/書き換えられているもので、私はこの方法が、新たな都市空間への視座ともならないだろうかと考えました。
本計画は、台東区旧山谷地区におけるホームレスと街の人のための建物の提案です。ホームレスは都市空間にもともと用意された形式やルールを読み替え、そして能動的に書き替えていくプロフェッショナルだと考えます。
私は彼らをまずストーキングして行動パターンやその場所に隠れている見えない規則をあぶり出すことを試み、さらにインタビューやスケッチを通して、路上空間で生活するうえでの小さな知恵や、空間認識の仕方、そして彼らのシェルターである衣服を「脱ぐ」「着る」という生活行為の重要性について学びました。
本計画では、こうしたリサーチをもとに、街にすでにあるものやプログラムを読み換え/書き換えながら、ホームレスに一部占拠されてしまった山谷いろは商店街に3つの建物を設計しました。重みを脱ぐための「廃品回収所」、状態を脱ぐための「銭湯」、居場所や情報を着るための「図書館」です。
これらの建物が商店街でつながることにより、周辺住民もまたホームレスに占拠されてしまった空間を取り戻しながら、交差し得なかった両者の距離を保ち、分かちつつ、この場所を一体になって使いこなしていくことを模索しました。そして最終的には、ホームレスが持たなかった、あるいは持つことをためらっていた「ホーム」を、この商店街で能動的に「着て」いくきっかけになる空間をつくることを目的としています。
ホームレスの人々にまつわる多様な問題を一問一答のように「解決」するのではなく、それらを「許容」し、むしろ多様な選択肢を用意することで、新たな社会への眼差しを向けることを試みました。
展覧会と公開審査会(修士設計展)の詳細は以下のとおり。
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トウキョウ建築コレクション2016
会期:2016年3月1日(火)〜 6日(日) 10:00〜20:00
会場:代官山ヒルサイドテラス
(住所:東京都渋谷区猿楽町18-8)
詳細:http://www.2016.tkc.site/
トウキョウ建築コレクション2016公開審査会(修士設計展)
日時:2016年3月5日(土)10:30〜18:30
会場:ヒルサイドプラザ
審査員:青木淳 内藤廣 長谷川逸子 福島加津也 連勇太朗
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石原愛美「空間文体練習」(グランプリ受賞)
「空間文体練習」 石原愛美
「文体練習」とは、フランスの作家レーモン・クノーの著作です。これはひとつの短いストーリーが「練習」という名目により、異なる文体で読み換え/書き換えられているもので、私はこの方法が、新たな都市空間への視座ともならないだろうかと考えました。
本計画は、台東区旧山谷地区におけるホームレスと街の人のための建物の提案です。ホームレスは都市空間にもともと用意された形式やルールを読み替え、そして能動的に書き替えていくプロフェッショナルだと考えます。
私は彼らをまずストーキングして行動パターンやその場所に隠れている見えない規則をあぶり出すことを試み、さらにインタビューやスケッチを通して、路上空間で生活するうえでの小さな知恵や、空間認識の仕方、そして彼らのシェルターである衣服を「脱ぐ」「着る」という生活行為の重要性について学びました。
本計画では、こうしたリサーチをもとに、街にすでにあるものやプログラムを読み換え/書き換えながら、ホームレスに一部占拠されてしまった山谷いろは商店街に3つの建物を設計しました。重みを脱ぐための「廃品回収所」、状態を脱ぐための「銭湯」、居場所や情報を着るための「図書館」です。
これらの建物が商店街でつながることにより、周辺住民もまたホームレスに占拠されてしまった空間を取り戻しながら、交差し得なかった両者の距離を保ち、分かちつつ、この場所を一体になって使いこなしていくことを模索しました。そして最終的には、ホームレスが持たなかった、あるいは持つことをためらっていた「ホーム」を、この商店街で能動的に「着て」いくきっかけになる空間をつくることを目的としています。
ホームレスの人々にまつわる多様な問題を一問一答のように「解決」するのではなく、それらを「許容」し、むしろ多様な選択肢を用意することで、新たな社会への眼差しを向けることを試みました。