Examination |平成31年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
東京藝術大学美術学部建築科の入学試験は、文章と図で示された立体を印象ではなく正確に捉え描画を行う[空間構成]と、与えられた素材から空間をドローイングや文章で表現する[総合表現]の2課題で構成されます。
以下に、平成31年度の美術学部建築科入学試験の参考作品とその評価基準を掲載します。平成30年度以前については本ページの下段のリンクから参照できます。
なお、試験問題については、こちらを参照してください。
平成31年度美術学部建築科入試問題用紙(PDF)
また、令和2年度入学試験に関する情報は、大学入試情報サイトに掲載される募集要項を参照してください(11月頃掲載予定)。
東京藝術大学入試情報サイト
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◎[空間構成](1日目)
この試験は、文章と図で示された立体に関する問題です。
本年度は、与えられた条件に該当する立体群の総数を把握した上で、その中から適切な組み合わせを抽出して配置し描写を行うものでした。
本年度の試験において特に評価した点は以下の通りです。
① 立体群の組み合わせ方の全体像を過不足なく論理的に捉える能力
② 多数の組み合わせの中から適切な一つを選択する能力
③ 選択した立体群の特徴を活かした配置を考案する能力
④ 素材及び立体が創り出す空間の描写力
以下、合格者の解答例です
解答例a(問題1、2、3)
解答例b(問題3)
解答例c(問題3)
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◎[総合表現](2日目)
この試験は、正解を求めるものではなく、受験生の資質と独創性を問うものです。内容は、与えられた素材(文章、図、写真、映像など)から空間をイメージし、それをドローイング、立体、文章などで表現するものです。
平成31年度は、提示された主題に基づいて、観察・分析・構想し、自らが創造した空間を文章とドローイングで表現するものです。この試験においては次の点を評価しました。
① 問題文で提示された主題を適切に観察・分析する力
② 分析内容と目的を豊かに結びつける構想力
③ 構想した空間を表現する力
④ 制作意図を的確に説明する能力
出題側の意図は、自然物が持つ形態的特徴をつかみ、そこにある幾何学や法則を見出し、それをもとに形態を創造することです。その課題に対して、配布した素材を有効に活用できていない例も目立ちました。
以下、合格者の解答例(設問1及び4、2、3)です。
以上3点、解答例A(設問1及び4、2、3)
この解答例は、シンプルな幾何学を立体的に組み合わせることで複雑で多様な場を作り出すことに成功している点が評価されました。ただし、バラの分析が印象論に留まっており、形態がもつ隠れた法則性を抽出するまなざしにやや物足りなさを感じました。
以上3点、解答例B(設問1及び4、2、3)
この解答例は、空間における質の異なる場の生成を、光と影によって表現することに成功しており、表現もそれを端的に示すことができている点が評価されました。ただし、どの植物にもみられる特徴を抽出したものになっており、与えられたバラに対する分析としては物足りなさを感じました。
以上3点、解答例C(設問1及び4、2、3)
この解答例は、バラの分析において、印象ではなく定量的に特徴を分析している点や、その分析を幾何学的な表現に結びつけようとする意志が評価されました。ただし、その分析を建築形態に翻案する際の手続きにやや飛躍が見られる点が指摘されました。
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