Examination |令和2年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
東京藝術大学美術学部建築科の入学試験は、文章と図で示された立体を印象ではなく正確に捉え描画を行う[空間構成]と、与えられた素材から空間をドローイングや文章で表現する[総合表現]の2課題で構成されます。
以下に、令和2年度の美術学部建築科入学試験の参考作品とその評価基準を掲載します。平成31年度以前については本ページの下段のリンクから参照できます。
なお、試験問題については、こちらを参照してください。
令和2年度美術学部建築科入試問題用紙(PDF)
また、令和3年度入学試験に関する情報は、大学入試情報サイトに掲載される募集要項を参照してください(11月頃掲載予定)。
東京藝術大学入試情報サイト
ーーーー
◎[空間構成](1日目)
この試験は、与えられた文章と図の正確な考察に基づき、立体を構成・表現する力を問うものです。
本年度は、指定された条件に従って直方体を3つに分割し、それを適切に配置して描写を行うものでした。
本年度の試験において特に評価した点は以下の通りです。
① 指定された条件に適合していることを説明する能力
② 配置を念頭に置いて適切な形状に分割を行う能力
③ 分割を行った立体群の特徴を活かした配置を考案する能力
④ 素材及び立体群が創り出す空間の描写力
本年度の試験では①は大部分の受験生がクリアしていましたが、②及び③が無造作に行われている解答が散見されました。機械的に立体を分割するのでは無く、個々の立体の形状や最終的な配置方法を考慮した分割を期待していました。
以下、合格者の解答例です。
解答例a(設問1、2)
解答例b(設問1、2)
ーーーー
◎[総合表現](2日目)
この試験は正解を求めるものではなく、受験生の資質と独創性を問うものです。
内容は、与えられた素材(文章、図、写真、映像など)から空間をイメージし、それをドローイング、立体、文章などで表現するものです。
本年度は、映像作品を鑑賞した上で、そこで感得あるいは観察した内容を基にして、空間をイメージし、それを簡易な立体とドローイング及び文章で表現するもので、以下の点を特に評価しました。
① 映像から想起したイメージとその適切な表現
② イメージを空間に結びつけていく構想力
③ 構想した空間を表現する能力
④ 制作意図を的確に説明する能力
本年度の試験では、①に関しては、映像の観察が十分ではない解答が見受けられました。また、②に関して、想起したイメージと作成した空間との関係が不明瞭なものが多かったことも残念です。総合表現の試験では、与えられた素材に対する観察が重要であることをよく理解して試験に臨んで下さい。
以下、合格者の解答例です。
以上4点、解答例A(設問1、2、3、4)
この解答例は、詳細な観察の上で、映像が持つ時間軸を構築物の長さに、運動性を曲面をもった形態に置き換えています。構造物内を進むにつれて変化する光の量や、床の傾きなどにより、さまざまな居場所を作り出そうとしています。構造物の形態や全体構成が、やや直裁であることは否めません。
以上4点、解答例B(設問1、2、3、4)
この解答例は、映像を撮影するカメラ位置の変化も見逃さず、いわば1つ上の次元から映像作品全体を捉えようとしています。しかし、表現されたものは、静的/動的2つの個別の空間であり、観察から得られた独自の視点を十分に生かしきれているとは言いがたく、やや凡庸なものとなっています。
以上4点、解答例C(設問1、2、3、4)
設問1では、さほど注目に値するものはありませんが、提示された立体がもつ不可思議な造形が印象に残りました。映像に見られた運動性を3つのムーブメントに分解し、それぞれを立体化し構成しています。噛み合わせ、切り欠くなどの操作も効果的であると言えますが、設問3の描写と設問2の立体物の一致が不明瞭でした。
ーーーー
関連:
平成31年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成30年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成29年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成28年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成27年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成26年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品
平成25年度 東京藝術大学美術学部建築科 入学試験 参考作品