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Channel: 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture
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Exhibition |シン・マサキキネンカン

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Exhibition |シン・マサキキネンカン


青木淳研究室(建築設計第二研究室)による展覧会を開催します。

会期:2020年12月5日(土)〜12月13日(日)
会場: 東京藝術大学構内 正木記念館
開場時間: 10:00-17:00(入館は閉館時刻の30分前まで)
入館料: 無料
主催: 東京藝術大学青木淳研究室 修士一年
   荻野 紗・齋藤 悠太・藤井 雪乃・山田 寛太
担当教員: 青木 淳( 教授)・澤田 航(助手)
TEL: 03-5777-8600(ハローダイヤル)

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 建築で「空間」と言うとき、それはなにもない場所という意味を指していません。建築の世界での「空間」とは、地面や、川や、樹木や、塀や、さてまた壁や床や天井などの、つまりは建築など、複数の事物があって、それらが張り巡らされている場、ということを指しています。その意味では、私たちのまわりには空間が満ちていて、逆に言えば、空間でない場を探す方がむずかしいのです。
 建築とは、そのような空間を扱う行為であり、そして、この世の中という、空間だらけのところでそれを扱うのですから、具体的には、すでにそこに存在しているあるひとつの空間に手を加える、ということになります。
つまり、すべての建築は、広い意味でのリノベーションなのです。
東京藝術大学建築科青木淳研究室では、こうした広い意味でのリノベーションに、修士1年生が共同して取り組み、実際にテンポラリーな形ではありますが、実現します。 
 しかし、テンポラリーなリノベーションとは、空間の側から言えば、「展覧会」そのものではないか、というのが、私たちの立場です。なぜなら、展覧会とは、ある空間を作品の配置によって、ある一定の時期に、もともとの場所とは違う空間にする行為であり、もしも「作品」を括弧にくくって見れば、それはテンポラリーなリノベーションとも言えると思われるからです。

 さて、今回の会場である正木記念館は、昭和10 年、東京美術学校(現東京藝術大学)の第五代校長・正木直彦氏の長年に渡る功労を記念して建設されました。近代和風様式の鉄筋コンクリート造。会場である2階は、正木氏の希望により書院造の和室が設けられました。東京都美術館や黒田記念館等が歴史的な美術作品を収蔵するのに対し、本館は主に学生や若手美術家の新作を披露する場としての役割が充てがわれる一方、その設えから茶会や研究活動等への利用も加味されています。そういった様々なアクティビティへの余地、必要とされる条件、記念碑としての存在。あらゆる決定事項が重なり、正木記念館はある種普通ではない状況をつくり出しています。
 私たちは、その正木記念館にテンポラリーなリノベーションとしての「展覧会」を企画しました。まず、正木記念館をつぶさに観察し、建具、畳、構成、光といった、あらゆる要素がいかにその空間に影響を与えているかを分析し、その各要素が示唆する次へのステップを汲み取りながら、あらゆる空間的な変化を会場内に散りばめました。
 ここには、いわゆる「作品」はありません。代わりに、「作品」に見立てた無作為な物達が配置され、それらは空間を構成する要素として、他の事物と等価に扱われています。
 また、建築や空間は人が利用することで初めて完成します。つまり来場者が畳に座ったり、襖を開けたり、何かを見つめたりすることでついにこの空間に意味が発生します。このプロジェクトでは、いかなる現象も空間の要素となることを前提としています。
 この場所に発生するあらゆる現象によって、正木記念館の空間的な自由を表現し、それ
によって、建築におけるテンポラリーなリノベーションとしての「展覧会」の意味を問い直します。全ては試行の只中です。この会期中、今までにない正木記念館の風景が見えてくることを願っています。






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