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Channel: 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture
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Exhibition Report |トウキョウ建築コレクション2015

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日時:2015年2月24日(月)〜3月1日(日) 会場:代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラム ヒルサイドプラザ 全国から修士設計・修士論文・研究室プロジェクト等を集め行われているもので、桝永絵理子(北川原温研究室)、竹之内芙美(北川原温研究室)、原田健介(ヨコミゾマコト研究室)の3名が一次審査を通過し「全国修士設計展」に選出されました。 「輪郭ー大地と空」桝永絵理子 「0→」竹之内芙美 「"転換"の作法」原田健介 2月28日には全国修士設計展の公開審査が行われ、「輪郭ー大地と空」桝永絵理子が山本理顕賞を受賞しました。 (審査員:猪子寿之 大西麻貴 門脇耕三 竹内昌義 手塚貴晴 豊田啓介 山本理顕) 「輪郭ー大地と空」桝永絵理子 本研究は、インド、ラダックの仏教僧院や伝統住居を2カ月間調査し、その体験をもとにラダックのプガという地域を“公共地域”として保養所を提案するものである。 ラダックにはチベット仏教僧院が沢山残っている。2年前に訪れたとき、大地と空に触れながらそれぞれの場を巡るような僧院建築に感動した。
すべてを露にしてしまうかのような圧倒的な大地の中で、僧院から一歩も出ずに過ごす人たちがいる。彼らにとって建築は、単なる機能性以上に、ある世界観や人生観を反映したものであるかのように感じられた。たとえば僧侶が暮らす場所は、大地を背に、谷間から吹き寄せる風を受け入れる簡素さがあり、西に沈む太陽を眺めながら眠る時間の流れが大切にされているように思われた。また建物の外壁は石灰を塗られており、補修する際に石灰が撒かれることで建物が大地と同化していく。私はそうした大地と人、建築の物語のある場所に身を置きたいと思い、この夏、修士制作として再度ラダックを訪れた。2カ月間、実測等を通して大地と建築の関係や暮らしを分析し、砂や石灰を画材として混ぜてスケッチをし、光や音、風など様々な状況が立ち現れる空間を記述してきた。 そして
調査の中で、遊牧民の友人から彼の実家があるチャンタン高原の標高4,500mを越える遊牧地帯には病院がないために遊牧民の数が減っていること、『プガ谷』という温泉が湧き出ている地域は、莫大な地熱エネルギーを蓄えた土地として世界的に注目されているが、今後の開発のされ方によっては遊牧民の生活を脅かしてしまう恐れがあること、伝統医アムチに連れられて病の治療に訪れる人が沢山いるが温泉に浸かる場所がないことなどを知った。そこで、遊牧民地帯を巡りながらインタビュー、調査を行うことによって、できるだけ現実的なかたちで保養所を設計した。 
現在、ラダックの都市レーでは近代化に伴って新たな建築の形を模索されており、コンクリートによる無機質な都市ができてきているが、住民の間においてそういった建築はあまり受け入れられていない。設計したプガという地域は停戦ラインにも近く、現状では共有地として使われていることから、この計画においても公共建築、さらに言えば公共地域となるように想定した。設計にあたってはラダックの素材や構法を用いながら、大地で採取した色を設計に取り入れ、空間体験は新しいものにした。 本案は私の調査をもとに現状で考えられるあくまで一案であり、実際にはその時々で部分に対応しながら全体を修正していくことが必要だと考えている。ここで提案しているのは、近代的な都市計画手法でもなく、バナキュラーな自然発生でもない、フェイズによって段階的な発展をみる計画手法であり、建築と大地がどのような姿をとるべきかを考えるきっかけになるのではないか。 まずはこの案をもって、もっと多くの人に提案できたら良いと思う。

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