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Channel: 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture
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News |ここに棲む ― 地域社会へのまなざし

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アーツ前橋での展覧会「ここに棲む ― 地域社会へのまなざし」に、乾久美子+東京藝術大学乾久美子研究室が出展しています。
乾久美子研究室では、人々の能動的な介入や工夫によって既存の都市施設のなかに生まれた居場所を「小さな風景」と命名して、全国各地でリサーチをおこなっている。本展覧会は、ギャラリー間での展覧会「小さな風景からの学び」(2014)につづく成果を展示する。

「ここに棲む ― 地域社会へのまなざし」
会期:2015年10月9日(金)~ 2016年1月12日(火)
会場:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)
詳細:https://www.artsmaebashi.jp/?p=5911

関連:乾久美子+東京藝術大学 乾久美子研究室 展 小さな風景からの学び




Critique |平成27年度 卒業制作中間発表

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卒業制作の中間発表。
発表者は、浜本七夢、東野友紀、阿部春香、板坂留五、市原昇、下里杏奈、田中秋水、楢林蓉奈、林加奈、半田悠人、平田彩、増渕健太、矢田芙弥代、山口菜月の14名。 

最終講評会は12月23日開催です。



Critique |平成27年度 大学院修了制作・修了論文中間発表2

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大学院修了制作・修士論文の第2回目の中間発表。発表者と題目は以下のとおり。

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光井研究室
馬場麻里奈「商工地図を通してみる銀座の性格 業種・街路・店舗空間に着目して」
川島千鶴「戦後の都道府県庁舎の変遷に関する研究」

乾研究室
李ヘドゥン「日本住宅研究」
遠藤郁「旅館の大きな許容性」
湯ノ迫史「最後の東京銭湯」

ヘネガン研究室
添田昂司「経験主義的超高層」
連洋助「ILLEGAL IN CROSSING」
石原愛美「空間文体練習」
鈴木彩香「食卓は環の上をめぐって」

北川原研究室
広瀬賢人「偏執狂的批判建築」
武田憲治「一般的賃貸物件の建築的介入の実験的試み」
松田夏香「表層の建築 密集する都市居住空間での中間領域の移行」

ヨコミゾ研究室
飯澤元哉「布を用いた運搬・展開可能空間の提案」
王乾「「気韻生動」の空間について」
金城拓也「真鶴町の空き家を利用したゲストハウス計画 傾斜地における魅力度の高い外部空間の研究」
杉山由香「まちを生き返らせる穴」
鈴木理咲子「写真から紐解く家と土地の過去とその未来」
田坂創一「丘の上でともに暮らす ー郊外住宅地における地域共同体に関する考察ー」

金田研究室
中山和典「継手・仕口を用いた変形する木質架構の研究」
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最終講評会は12月24日開催です。

Works |北川原温「2015年ミラノ国際博覧会日本館」

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北川原温教授が建築プロデューサーとして関わった「2015年ミラノ国際博覧会日本館」(設計は石本建築事務所)が完成。2015年5月1日から10月31日まで開催された博覧会会期中、多数の入場者を迎え、閉幕時には「展示デザイン」部門で金賞受賞が発表された。
外壁を構成する特徴的な立体格子は、日本の伝統的木造建築に見られる木組みを、先端技術を用いながら構造的に解析・応用することでつくられている。

Photo: Shigeru Ohno

関連:『新建築』2015年7月号 pp.82-90
   北川原温建築都市研究所 2014年発表の計画案

Publication |『新建築』2015年7月号「emerging projects 2015」

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『新建築』2015年7月号の特集「emerging projects 2015——今、建築・都市にどう向きあうか」に、教育研究助手(2014年度ー)の岩瀬諒子によるテクスト「小さな越境の集積として」とプロジェクト「木津川遊歩空間整備事業」が掲載されています。

また、同特集には、本科修了生の小林一行と樫村芙実の「TERRAIN architects」による「Workshop in Uganda」、中川エリカによる「ライゾマティクス新オフィス移転計画」、永田康祐による「i saw a girl with a telescope/類推する形態」も掲載されています。

『新建築』2015年7月号 新建築社
特集「emerging projects 2015——今、建築・都市にどう向きあうか」pp.38-67

Works |建築科オウセツマ・プロジェクト

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上野キャンパス総合工房棟4階にある建築科の改修計画。エレベーターホールに建築科のアクティビティや情報を伝える「オウセツマ」を設置することをめざす。

2015年度前期末に科内コンペを実施し、設計案を募集。設計者に選ばれた学生メンバーが、教員や助手とのエスキースを経て、最終案を完成させた。現在、実現に向けて実施図等を作成中。

プロジェクトメンバー|富永秀俊(2年) 市原昇(4年) 笠松咲樹(1年)

コンペ時のプレゼンテーションボード。「建築科が取り組んでいることを見渡せるような空間」が提案された。現在は、このコンペ時のコンセプトを以下の2つの操作によって実現しようとしている。

1. エレベーターホールと建築科FM講義室をつなぐ「筒」:ホールとFMのあいだにあった倉庫を撤去。ガラスの間仕切りによってホールとFMを視覚的に結びつつ、台形状の展示スペースを設置する。

2. 地図:建築科の大きなフロアマップを設置する。ここは各研究室や各学年が取り組んでいる課題・プロジェクトを紹介する場となることを想定している。

エレベーターホールと建築科FM講義室のあいだの倉庫を撤去。新たにガラスの間仕切りと台形状の展示スペース(「筒」)を計画する。通路側の壁には建築科フロアマップを設置。

現状のエレベーターホール、および建築科FM講義室。計画案実施に向け、現在は実施図等が作成中である。

Exhibition |ラーニング・アーキテクチャー2015|建築、学びの冒険ー大学の建築設計課題の動向展

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東京ミッドタウン・デザインハブ第54回企画展
「ラーニング・アーキテクチャー2015|建築、学びの冒険ー大学の建築設計課題の動向展」

会期:2015年11月20日(金)~ 12月26日(土)11〜19時
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区赤坂9−7−1 ミッドタウン・タワー5階)
入場料:無料
詳細:http://designhub.jp/exhibitions/1758/

関東圏のおもな建築系大学の建築設計課題を紹介する展覧会。藝大建築科は、学部1年生の椅子課題と、AAスクールとの合同ワークショップ成果物のふたつを出展。


木製の椅子を、デザインから実際の加工までおこなう学部1年生の設計実技課題の展示。「食ー椅子、ちょっとしたフルーツを添えて」という課題テーマで、「食べる行為」を発想のきっかけに椅子を制作した。本展では、履修者15名のうち4名の作品を出展。

笠松咲樹「S-eat with a lot of fruits」

上林修司「ウワバミと象」

谷口紅葉「椅子(遺伝子組み換えでない)」

間杉杏「こしかけ膳」

2015年度前期におこなわれたAAスクール・ディプロマ・ユニット10とユニット11との合同ワークショップの成果物の展示。各ワークショップのテーマは「ダイレクト・アーバニズム:スキャンと挿入」と「オルタナティブ・ガイド TOKYO UN-PLANNED」。東京の都市リサーチを敢行後、3Dモデルや模型、ドローイングや冊子などが制作された。

2015年4月におこなわれた合同講評会:http://arch.geidai.ac.jp/filter/y2015/Critique-AA-WS


Works |國武美久「あつまってふせぐ」

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「黄金町バザール2015 まちとともにあるアート」

会期:2015年10月1日(木)〜 11月3日(火)
会場:京急線「日ノ出町駅〜黄金町駅」間の高架下スタジオ、周辺のスタジオ他
詳細:http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2015/

國武美久(ヘネガン研究室修士1年)がインフォメーション・センター「あつまってふせぐ」を制作。飯田善彦らが審査員のコンペによって実施案として当選したもの。黒板塗装を用いた内外壁、木製古電柱の再利用により、地域の情報を集積し可視化する空間とした。




Lecture | Gabriela Bermeo Castrejon & Chak Ceel Rah Blancasレクチャー

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Gabriela Bermeo Castrejon & Chak Ceel Rah Blancas
「色と光と水の建築家:ルイス・バラガンについて」
日時:2015年10月6日(火)18時30分~
会場:東京藝術大学上野キャンパス 総合工房棟4階 FM

メキシコの建築家Gabriela Bermeo Castrejon(ガブリエラ・ベルメオ・キャストリジョン)とChakceel Rah Blancas(チャック・セル・ラ・ブランカス)による特別レクチャーを開催。メキシコ近代建築を代表する建築家ルイス・バラガンの「自邸」の保存・広報に携わっている身から、バラガン建築の特徴や魅力が語られた。

以下、学生によるレクチャーレポート。


ガブリエラ・ベルメオ・キャストリジョン(Gabriela Bermeo Castrejon)とチャック・セル・ラ・ブランカス(Chak Ceel Rah Blancas)は、ルイス・バラガンの「自邸」(1948年)の保存活動や広報などを手がけるディレクター兼建築家だ。今回実現した彼らのレクチャーでは、バラガンの建築家としての特徴、そして彼がメキシコ・シティに建てた「自邸」の魅力が語られた。

バラガンは、建築家であると同時に、工芸家であり、アーティストであり、実業家である。世界を旅し、モダニズムに感化されながら、他方では伝統に魅せられ、絵画を愛した。こうした似て非なるさまざまな領域を股にかけ、それらを母国で一個の作品として結実させたのが「自邸」であった。

レクチャーで最初に語られたのは、バラガンの旅についてである。1925年から1927年にかけて、バラガンはスペイン、フランス、モロッコを旅している。スペインで触れた教会の光、モロッコの寺院で赤々と焚かれた炎。旅で出会った力強い光は、それぞれの場所の自然環境に根ざす「文化」そのものであった。そして2人のレクチャラーが「メキシコの光を特別な光だ」と指摘するように、バラガンの母国メキシコにも特徴的な光は存在する。バラガンは建築を作るとき、その光に対応した。彼は、赤道付近に位置づくメキシコの太陽にピタリと狙いを定め、その光線に映えるように建物を黄色やピンクで彩った。だから、彼の建築をメキシコの外に移築しても、その魅力は半減してしまうだろう。

「自邸」では、アートが建築の一部のように存在する。たとえば、マティアス・ゲーリッツによる黄金色に輝く絵画が、ある特定の時間になると、太陽光を反射して、部屋全体を金色に染め上げてしまう。あるいは、室内の至るところに置かれた鏡面仕上げの球体は、自分がいま見つめている視野の外にある次の空間を予感させる。これらのアートピースすべてが、バラガンの空間演出にきちんと参加しているのである。強烈な太陽光によって陰影に富むこの住宅は、ジョルジョ・デ・キリコが描いた、強い日差しに照らされて黒い影を刻む構築物にどこか似ている。バラガンは、陰影によって時間を描こうとしたキリコに魅せられ、建築で絵画的世界を表現しようとしたのではないかと、チャックとガブリエラは指摘する。

ところで、バラガンは母国メキシコのなかで建築を建てることにこだわった。実際、彼の作品はメキシコにしかない。日本人が建築を作るとき、常にその脳裏には日本の家並みが忍びこむように、バラガンの脳裏にもいつも、母国の極彩色の風景があったはずだ。伝統工芸品にしろ町並みを形づくる家々にしろ、メキシコで作られるものは、どれも鮮やかな色で彩られている。市場にならぶ野菜でさえ、メキシコでは一層鮮やかに見える。つまり、「自邸」に限らず、バラガンの建築はどれも眩しい色彩で塗られているが、外国人からしてみたら突飛な意匠に思えても、彼自身にとってはきわめて身近で当たり前のものなのだ。また、バラガンはモロッコの山間部にある町並みを愛したという。そこでは建物が鮮やかな青に染め上げられており、そのことが町の人々を笑顔にしていると考えたというのだ。母国の外で出会った風景から、バラガンは色彩を意識的に使うようになったのかもしれない。

アートと色彩をきっかけにバラガンを切り取るチャックとガブリエラのレクチャーが終わったあと、ひとつ質問をしてみた。日本の建築家は白色や灰色を好み、南米の街々にあるような鮮やかな色彩は一般的に好まない。そもそも伝統的な町並みからしてそのような色彩であり、天気も、南米のようには常にカラッとしているわけではない。そんな日本の「色」を、どう思ったのか、と。彼らはこう答えた。「暗闇のなかに浮かび上がるような色彩が日本にはあると思う。日本ならば、日本の風土に合わせた色彩で、建築を作るべきだろうね」。

バラガンは風土との調和を目指すうえで、失敗や実験を重ねたそうだ。そのプロセスのなかで、環境との調和の手法を必ずしも理論的には語っていない。そのためにバラガンは「感情の建築家」と呼ばれたりもするのだが、しかし一方では、彼は実業家でもあった。デベロッパーの仕事もいくつもした。感情の赴くままに「自邸」を創作できたのは、そうした実業的な仕事があったからなのだ。建築家がアーティストのように「建築家然」とするだけでなく、戦略的な態度でも建築に取り組むこと。いまの日本ではバラガンからそのような考えを学ぶべきかもしれない。

見富夏樹+湊崎由香(建築科2年)




Critique |平成27年度 学部後期合同講評会

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学部1年 家具:食ー椅子、ちょっとしたフルーツを添えて/ S-eat with a bit of fruit
(担当教員:中山英之 福井裕司 宮崎晃吉 岩瀬諒子)

学部2年 実測
(担当教員:光井渉 中村文美 大井隆弘)
学部2年 架構:スケールシフトする架構 ー増殖する骨組みー
(担当教員:倉重正義 金田充弘 鈴木芳典)
学部2年 集合住宅:公園と集合住宅
(担当教員:トム・ヘネガン 佐々木龍郎 キム・テボン)

学部3年 地区設計:東京都心の機能複合ゾーンの設計
(担当教員:高見公雄 乾久美子 橋本圭央 市川竜吾)


学部1年 家具課題「食ー椅子、ちょっとしたフルーツを添えて/ S-eat with a bit of fruit」

学部2年 集合住宅課題「公園と共同住宅」

学部2年 架構課題「スケールシフトする架構ー増殖する骨組ー」

学部3年 地区設計課題「東京都心の機能複合ゾーンの設計」

学部2年 実測課題「護国山尊重院天王寺」

Lecture |新居千秋レクチャー

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新居千秋レクチャー
日時:2015年11月20日(金)18時30分~
会場:東京藝術大学上野キャンパス 総合工房棟4階 FM

新居千秋氏によるレクチャーを開催。武蔵工業大学での卒業設計に始まり、イエール大学やルイス・カーン事務所、ロンドンなど国外での豊富な経験、そして帰国後に事務所を設立してから現在に至るまでの作品が紹介された。

新居千秋(Chiaki Arai)
1948年生まれ。建築家、東京都市大学教授。1971年に武蔵工業大学工学部建築学科(現・東京都市大学)を卒業後、ペンシルバニア大学大学院芸術学部建築学科にて修士号を取得。ルイス・カーン建築事務所、ロンドン市テームズミード都市計画特別局を経て、1980年に新居千秋都市建築設計を設立。2008年より現職。



以下、学生によるレクチャーレポート。


近年、日本では戦後に建設された公共施設が老朽化による更新時期を迎え、ランニングコスト削減を狙った複合化が進んでいる。また、コミュニティの希薄化や孤独死などが社会問題となる中で、公共施設は人と人をつなぎ、コミュニティを育てる場であることが一層求められるようになっており、建築家は、人々が集まる場としての公共施設についてその根本から考える必要に迫られている。こうした状況で、新居千秋氏は、ワークショップによる参加型デザインを行いながら日本各地に次々と複合施設を作り上げており、非常に注目すべき建築家だ。

レクチャーでは、まず、1971年の武蔵工業大学(現・東京都市大学)での卒業設計がスライドで紹介された。写真を媒介にユーザーと対話しながら設計を行うという内容で、タイトルは「ピクチュア・ランゲージ」。クリストファー・アレグザンダーから影響を受けながら制作されたものだ。すでに40年以上も前から新居氏はワークショップのようなことを考えていたことになり、その一貫性は驚きである。新居氏にとって他者との関わりの中で設計することは、現在の社会が抱える問題にリアクションした結果ではなく、学生時代から続く純粋な興味なのである。

続けて、大学卒業後に経験したバラエティに飛んだエピソードが時系列順に述べられていく。留学したペンシルバニア大学では、ルイス・カーンやアレグザンダーら多彩な講師から、クラフトから世界までスケールを横断しながら建築をデザインすることを学んだ。ロンドン滞在期には、レム・コールハースやザハ・ハディドら同年代の変わり者と交流し、時代と建築が大きく転換するムーブメントを経験した。

こうした多彩な経験を経た新居氏が、ワークショップの手法を実際にプロジェクトに取り入れた最初が「黒部市国際文化センターコラーレ」(1994年)である。ここでは、参加者のジェネレーションや性別のバランスを調節したり、文化に興味のある公務員に担当してもらって委員会の構成や議題を検討することで、ワークショップを「内発型」から多くの人を巻き込んでいく「外発型」へと転換する試みが行われた。その後のディベロッパーとの共同設計や横浜赤レンガ倉庫の仕事でも、建築を専門としない人たちとのやり取りを生産的かつ効率的にする方法を試行錯誤しており、プロジェクトの性格を問わず一貫して「人との関わり」を設計をすることを重視していることが分かる。

そして、新居氏が様々なプロジェクトで培った経験を整理することで確立されたのが、「デザイン・スクリプト」という考え方である。建築をデザインするのではなく、そのデザインを参加者で作り上げる「脚本」を作る、というものだ。それは建築の「創作」というよりも「編集」に近い作業であり、その目的はデザインに「偶然性」や「冗長性」を受け入れることにある。新居氏は「デザイン・スクリプト」をハリウッド映画の制作プロセスに例えていたが、私はゲームに近いものだと感じた。映画は自動的にストーリーが進み、参加者は一方的に情報を受け取るが、ゲームでは参加者が操作をして主体的にストーリーに参加するからだ。「デザイン・スクリプト」を通して、とくに「大船渡市民文化会館・市立図書館リアスホール」(2008年)以降のプロジェクトでは、参加者の意見を反映することで、建築の形態デザインは事前の予想を超える豊かさと複雑さを獲得している。

「デザイン・スクリプト」は、新居氏の師匠のカーンに倣えば「フォーム」と言うべきものだろう。デザインを多数の人々で作り上げていくための論理・筋書きである。そして、その「フォーム」から生み出された各プロジェクトの「シェイプ」に、私はいくつかの共通の特徴を感じた。

まず、ワークショップを経て建築プログラムが変更されると、それが空間構成や形態にダイレクトに反映し、非常にダイナミックな建築が生まれていること。「リアスホール」や「由利本荘市文化交流館カダーレ」(2011年)など、新居氏の近作は非常に自由度の高い形態が特徴だが、それは建築内部のプログラム一つ一つへの正直な応答に過ぎない。新居氏はこうして作られる自作の特徴を「Inconsistent Inconsistency(不均質な不均質)」とまとめている。

ただ、新居氏の建築は、「不均質な不均質」であるにも関わらず、「全体性」を確保していることが興味深い。私が所属する乾久美子研究室では、今年度、人々の集まる居場所を考えるために地方の様々な複合施設を調べたのだが、その中で良いと感じた施設には、部分や断片がただ寄せ集めただけではない複合的な全体性が見られた。バラバラなものをバラバラなまま組み上げても、デザインにはならない。不均質でありながら全体性を維持する新居氏の建築は、それゆえに独特であり、不思議な魅力がある。「リアスホール」は東日本大震災後には被災者の臨時住まいとして大いに活用されたという。奇抜と言える形態をしながらも人々に愛着や使いやすさをもたらし、実際に高い利用率を生んでいることはとても興味深い事実だ。

とはいえ、新居氏の建築にとって重要なのはあくまでも「フォーム」である。レクチャー中、カーンが残した2つの言葉を強調していたことが印象的であった。「物事の始まりについて考えてください。名前のある部屋や建物を疑いなさい」、そして「いま一度、名前があるものについて考えなさい」という言葉だ。合理性や経済性、効率を求めれば、「図書館」や「劇場」といった公共施設では諸室に用途名が明記され、利用者は型にはまった一定の振る舞いが許されるだけである。公共施設の復号化は、その凝り固まった型=「フォーム」の解体と再構成に他ならない。そのように根本的な部分からデザインを考え直すことが今、重要なのだと思う。

宮下巧大(建築専攻修士1年)



News |椅子展「食-椅子、ちょっとしたフルーツを添えて」

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学部1年の家具課題で制作された椅子の展覧会が開催されます。

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椅子展「食-椅子、ちょっとしたフルーツを添えて S-eat with a bit of fruit」

日時:2016年1月13日(水)〜1月31日(日)8時〜10時30分、12時〜21時(1月18日・25日は休廊)
会場: HAGISO(東京都台東区谷中3-10-25)
入場無料

出展者:鵜飼瞭汰 越智俊介 笠松咲樹 上林修司 木下直哉 島田澪 島津利奈 谷口紅葉 田原花帆 鶴田航 白家明 藤村みなと 間杉杏 村田夏菜子 湯浅綾佳

詳細:http://hagiso.jp/art/201601_s-eatwithabitoffruit/
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News |第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展

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藝大美術学部全科の卒業制作・修了制作の作品が一同に会する展覧会が開催されます。展示会場は東京都美術館、大学美術館、陳列館や正木記念館、また、学内の各科の特徴のあるアトリエのスペースや屋外など。

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「第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展」

会期:2016年1月26日(火)~31日(日)9時半〜17時半(入場は17時まで)  最終日 9時半〜12時半(入場は12時まで)
会場:東京都美術館 大学美術館・大学構内
入場無料

卒業制作出展者:東野友紀 濱本七夢 阿部春香 板坂留五 市原昇 下里杏奈 田中秋水 楢林蓉奈 林加奈 半田悠人 平田彩 増渕健太 山口菜月
会場は【東京都美術館1F 第1展示室】

修了制作出展者:中山和典 川島千鶴 馬場麻里奈 李ヘドゥン 遠藤郁 湯ノ迫史 添田昂司 連洋助 石原愛美 鈴木彩香 松田夏香 飯澤元哉 王乾 金城拓也 杉山由香 鈴木理咲子 田坂創一
会場は【大学構内の陳列館2F、総合工房棟1Fオープンアトリエ、大学美術館エントランス】

詳細:http://diploma-works.geidai.ac.jp//
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Critique |平成27年度 修了制作・修了論文講評会

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平成27年度大学院修了制作・修士論文の最終講評会。発表者と題目は以下のとおり。

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金田研究室
中山和典「無題」

光井研究室
川島千鶴「戦後の都道府県庁舎の変遷に関する研究」
馬場麻里奈「商工地図を通してみる銀座の性格」

乾研究室
李ヘドゥン「まちに広がる家」
遠藤郁「旅館の大きな許容性」
湯ノ迫史「とある東京銭湯」

ヘネガン研究室
添田昂司「Growing city」
連洋助「CYCLE NODE」
石原愛美「空間文体練習」
鈴木彩香「食卓は環の上をめぐって」

北川原研究室
広瀬賢人「Mi polla se fue volando y se convirtió en pollo」
武田憲治「hacked space」
松田夏香「テリトリス」

ヨコミゾ研究室
飯澤元哉「an ambivalent surface」
王乾「「気韻生動」の空間について」
金城拓也「真鶴町の空き家を利用した町に点在する宿泊施設計画」
杉山由香「歴史と今をつたえる穴」
鈴木理咲子「記憶をなぞる家」
田坂創一「丘の上でともに暮らす」
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Information

「第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展」

美術学部全科が一同に会し、大学構内と東京都美術館にて展示します。

会期:2016年1月26日(火)~31日(日)9時半〜17時半(入場は17時まで)  最終日 9時半〜12時半(入場は12時まで)
会場:東京都美術館 大学美術館・大学構内

【建築科 卒業制作】の会場は東京都美術館1F 第1展示室。
【大学院美術研究科建築専攻 修士制作・論文】の会場は、大学構内の陳列館2F、総合工房棟1Fオープンアトリエ、大学美術館エントランス。

詳細:http://diploma-works.geidai.ac.jp//

Critique |平成27年度 卒業制作講評会

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平成27年度卒業制作の最終講評会。発表者と題目は以下のとおり。

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東野友紀「バスの向こうに」
濱本七夢「つねに各々の現実感から離れ変容し続ける現実と、波にながされるなかの自己表現」
阿部春香「つわものどもが夢のあと」
板坂留五「pick "kakera" up」
市原昇「ビル下町ができるまで」
下里杏奈「Hotel de Urban」
田中秋水「神楽坂の盲学校」
楢林蓉奈「re/place」
林加奈「ショート・ショート・ショート」
半田悠人「カーテンコール」
平田彩「How to bloom it」
増渕健太「海は見えているか?」
山口菜月「unevenness」
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Information

「第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展」

美術学部全科が一同に会し、大学構内と東京都美術館にて展示します。

会期:2016年1月26日(火)~31日(日)9時半〜17時半(入場は17時まで)  最終日 9時半〜12時半(入場は12時まで)
会場:東京都美術館 大学美術館・大学構内

【建築科 卒業制作】の会場は東京都美術館1F 第1展示室。
【大学院美術研究科建築専攻 修士制作・論文】の会場は、大学構内の陳列館2F、総合工房棟1Fオープンアトリエ、大学美術館エントランス。

詳細:http://diploma-works.geidai.ac.jp//

News |学生自主展覧会「ku kan 展」

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建築科学部生有志による自主展覧会が開催されます。

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「ku kan 展」
会期:2016年2月2日(火)〜 5日(金) 9:00〜16:30
会場:東京藝術大学大学会館2F展示室(東京都台東区上野公園12-8)

出展者:藝大建築科学部生有志(大澤周平 大谷七海 桂隼人 川口ほたる 上林修司 後藤宏輔 斉藤哲也 谷口紅葉 都築響子 鶴田航 富永秀俊 見富夏樹)

概要:
藝大建築科では、2015年9月から学生有志が『月刊ku kan』というフリーペーパーを発行している。その6号目に当たる『月刊ku kan 2月号』は、ペーパーではなく展示として空間化することを試みる。自己と他者を結ぶメディアを、「文字」から「モノ」へと変換する。

展示テーマは「『ku kan』の空間化とそれに伴う〈ゴミ〉の作品化」。出展物は建築科学生が課題時に制作したドローイング、リサーチ、椅子、模型、図面などである。

これらのモノは、各制作者の「思想」を強く反映してつくられたものの、講評会で用いられたあとには、製図室内に閉じ込められ放置された状態になる。製作者以外の他者の目に触れなければただの〈ゴミ〉になるだろうそれらを、本展ではあらためてブラッシュアップし、他者の視線に触れさせることで、何らかの対話を発生させる〈作品〉へと変えていきたい。
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Exhibition |ここに棲む ― 地域社会へのまなざし

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「ここに棲む ― 地域社会へのまなざし」
会期:2015年10月9日(金)~ 2016年1月12日(火)
会場:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)
詳細:https://www.artsmaebashi.jp/?p=5911

アーツ前橋での展覧会「ここに棲む ― 地域社会へのまなざし」に、乾久美子+東京藝術大学乾久美子研究室が出展。
乾久美子研究室では、人々の能動的な介入や工夫によって既存の都市施設のなかに生まれた居場所を「小さな風景」と命名して、全国各地でリサーチをおこなっている。本展覧会は、ギャラリー間での展覧会「小さな風景からの学び」(2014)につづく成果を展示した。

photo: 木暮伸也

関連:乾久美子+東京藝術大学 乾久美子研究室 展 小さな風景からの学び

Critique |平成27年度 大学院「建築設計Ⅱ」講評会

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大学院課題「建築設計Ⅱ」の講評会。乾研究室、中山研究室、ヘネガン研究室、北川原温研究室、ヨコミゾ研究室、金田研究室に所属する大学院生が、各研究室に分かれ、調査・研究・設計プロジェクトを発表した。


乾研究室「インフォーマルな人々の集まりの場の研究と発表」
指導教員:乾久美子 市川竜吾
発表者:高橋慧 藤巻佐有梨 宮下巧大
前期課題では、日本各地の小規模なコモンスペースの実測・作図がおこなわれた。後期課題では、その成果発表のための展覧会会場構成や、子供向けワークショップの企画・運営を実施した。展覧会は、群馬県前橋市にある美術館「アーツ前橋」で開催された。
関連:展覧会「ここに棲む ― 地域社会へのまなざし」


乾研究室の平成26年度課題で実施設計した「House-M」の竣工報告も、修士2年生(遠藤、湯ノ迫、李)からおこなわれた。

中山研究室「FABCAFE HIDA ― 飛騨市古川町の古民家リノベーション」
指導教員:中山英之 岩瀬諒子
発表者:岩元早代 茂住勇至
岐阜県飛騨市古川町にある築100年を超える古民家「熊崎家」のリノベーション計画。前期でおこなった実測調査、解体作業、基本設計をベースに、オープンへ向けた実施設計の補助等をおこなう。

ヘネガン研究室「Play Park, Ballyfermot」「KYM Field Schools for Africa」
指導教員:トム・ヘネガン キム・テボン
発表者:石黒昌平 國武美久 吉尾眞香 
「Play Park, Ballyfermot」は、アイルランド・ダブリン市にある公園をスケートボードとBMXのできる場所へと転換するプランを設計。「KYM Field Schools for Africa」は、中央アフリカの農村地域に汎用可能な小学校のデザインの検討。アフリカの環境や伝統を考慮して、革新的な環境保護をめざす持続可能な「緑の設計」を試みた。

北川原研究室「小淵沢駅周辺地域活性化に係る調査研究」
指導教員:北川原温 松田和久
発表者:神谷陽平 五条萌 志甫景
北杜市からの受託研究として平成24年度から継続的に実施する課題。今年度後期課題では市民活動や市民団体、施設等をつなぐイメージの創出や、小淵沢駅西側地下通路の整備計画の検討がおこなわれた。

ヨコミゾ研究室「石巻市雄勝半島 防災集団移転地における集会所の検討」
指導教員:ヨコミゾマコト 小林良平
発表者:清水襟子 添田いづみ 吹野晃平  
宮城県石巻市雄勝小島地区防災集団移転地における、集会所の実施設計を課題とする。住民から集会所に対する平面構成や諸機能に関する要望をヒアリングし、それをまとめたうえで、防集団地における新しいコミュニティ醸成の場としての集会所のあり方を検討する。

金田研究室「ハーバード大学GSD+藝大ワークショップ 企画運営」
指導教員:金田充弘 鈴木芳典
発表者:菊地慶香 田野口紘大 羽切花那 
ハーバード大学GSDジャパンスタジオと藝大(他科・留学生含む)を対象にした4週間にわたる国際ワークショップの企画と運営を課題とする。ワークショップでは、漆や乾漆等の伝統工芸に関する知識を共有したり、デジタル・ファブリケーションを用いた設計製作をおこなった。

大学院に交換留学生として在籍するWiikinkoski Meri Iris(アアルト大学)、Sipila Sanni Marleena(アアルト大学)、Alon Sai(ベツァルエル美術デザインアカデミー)の3名も、各研究室指導教員と設定した設計課題での取り組みを発表。

Exhibition |椅子展「食-椅子、ちょっとしたフルーツを添えて」

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学部1年の家具課題で制作された椅子の展覧会が開催。

「食-椅子、ちょっとしたフルーツを添えて S-eat with a bit of fruit」
会期:2016年1月13日(水)〜1月31日(日)
会場:HAGISO(東京都台東区谷中3-10-25)
詳細:http://hagiso.jp/art/201601_s-eatwithabitoffruit/

出展者:鵜飼瞭汰 越智俊介 笠松咲樹 上林修司 木下直哉 島田澪 島津利奈 谷口紅葉 田原花帆 鶴田航 白家明 藤村みなと 間杉杏 村田夏菜子 湯浅綾佳





鵜飼瞭汰「いつまでも大人しくしてると思うなよ?」

越智俊介「蓮の実椅子」

笠松咲樹「S-eat with a lot of fruits」

上林修司「ウワバミと象」

木下直哉「抽象」

島田澪 「とろこんちょこ椅子」

島津利奈「Holy Trinity」

谷口紅葉「椅子(遺伝子組換えでない)」

田原花帆「重椅子」

鶴田航「pre-chair」

白家明「無意識」

藤村みなと「食椅子=∫食卓」

間杉杏「腰かけ膳」

村田夏菜子「sandwichair」

湯浅綾佳「思い出<フルーツ>」





Exhibition |第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展

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「第64回 東京藝術大学 卒業・修了作品展」
会期:2016年1月26日(火)~31日(日) 入場無料
会場【卒業制作】:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
会場【修了制作】:東京藝術大学上野キャンパス総合工房棟(A棟)1階+大学美術館陳列館2階
詳細:http://diploma-works.geidai.ac.jp//

卒業制作出展者:東野友紀 濱本七夢 阿部春香 板坂留五 市原昇 下里杏奈 田中秋水 楢林蓉奈 林加奈 半田悠人 平田彩 増渕健太 山口菜月

修了制作・修士論文出展者:中山和典 川島千鶴 馬場麻里奈 李ヘドゥン 遠藤郁 湯ノ迫史 添田昂司 連洋助 石原愛美 鈴木彩香 松田夏香 飯澤元哉 王乾 金城拓也 杉山由香 鈴木理咲子 田坂創一



以上、卒業制作。講評会:http://arch.geidai.ac.jp/Critique-27-6


以上、修士論文・修士制作。講評会:http://arch.geidai.ac.jp/Critique-27-7




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